「散歩で乳がんの予防になるの？」
実は、なるんです。乳がんの予防に関して、散歩を含めた運動に焦点をあてた調査の結果が最近発表されました。
楽しい散歩も立派な運動の一つであり、乳がん発症リスクの低下に大きく効くということがわかったのです。


 

14パーセントも発症リスクが低下

 
アメリカで、50歳以上で閉経後の女性7万3千人について、17年間のフォローアップを行い、乳がん発症リスクと運動の関係を調べた結果が最近発表されました。
その結果、早く歩く散歩や庭仕事といった穏やかな運動を1日1時間行っていた人は乳がんの発症率が約14パーセント低く、
ランニングやエアロビクス、水泳、テニスといった比較的激しい運動を1日1時間行っていた人においては、なんと約25パーセントも発症率が低かったことが明らかになりました。
今回の調査結果においては、体重やホルモン療法の有無とは関係が見られませんでした。どんな方でも、運動を行うことによって乳がんの発症リスクを抑えることが期待できるということですね。

 

がん予防に運動が効くわけ

 
運動していた女性に乳がんの発症リスクが低かった理由は、閉経後の乳がんの病因に関与していると思われるホルモン、インシュリン感受性、糖代謝、体重などの要因に何らかの形で運動が効いているからだと考えられています。運動には、血中インシュリンレベルを低下させる作用や、エストロゲンというホルモンのレベルを低下させる作用があると言われており、乳がんだけでなく子宮がんや大腸がんも運動によって発症リスクが下がると言われています。

 

毎日の生活に運動をお忘れなく！

 
毎日の生活習慣に運動を取り入れることは、10年、20年先の健康のためにも大切なことです。だからといって、ジムに通い始めないといけないということではありません。「エクササイズしなくちゃ」と構える必要もありません。軽めの運動で、体が暖まり、息が上がる程度の状態を目安にしましょう。

自転車に乗ったり、庭仕事の中でも芝を刈ったり植木を切ったりという大変な作業、掃除や大工仕事なども当てはまります。普段からやっていらっしゃることも入っていませんか？　それらのことに加えて「できるだけ体を動かす」ことを心がけるくらいならば、毎日できそうではありませんか？

 

散歩は誰にでもおすすめの手軽な運動

 
スポーツには縁遠い生活をされてきた方でも、早足で歩く散歩は手軽にできて毎日続けやすい、良質の運動です。普段の家事に加えて、散歩する時間を作って運動量を増やし、乳がん発症リスクを下げましょう。

参考：
• Recreational Physical Activity and Leisure-Time Sitting in Relation to Postmenopausal Breast Cancer Risk

http://cebp.aacrjournals.org/content/22/10/1906.full?sid=76f66f23-7729-4845-a277-0ace5bdca3d6

• Physical Activity, Exercise and Cancer

http://www.cancerresearchuk.org/cancer-info/healthyliving/exerciseandactivity/physical-activity-exercise-and-cancer

photo credit: joejukes via photopin cc