冷や汗にあぶら汗。ストレスがかかっているときは、汗による体臭にご注意
- 2013年12月05日 |
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冷や汗にあぶら汗。冬でも汗による体臭に注意は必要
焦ってじんわり冷や汗をかいた経験は、誰でもありますよね。そんな状況はできれば避けたいところですが、現実には困ったり、緊張したり、失敗して汗をかくというシーンは避けられません。実は、このストレスがかかっているときに出る汗というのが、結構なくせ者らしいのです。それでなくても大変な思いをしているというのに、この汗の臭いのせいで、周囲の目がさらに厳しくなるのだとか。
汗もコミュニケーションの手段になっている!?
汗には3種類あります。1.運動で体内の温度があがることによって出る汗
2.体外の温度が高いために出る汗
3.ストレスによって出る汗
このうち、1と2はエクリン腺から分泌され、3がアポクリン腺から分泌される汗です。
このアポクリン腺から分泌される汗は、皮膚の常在菌に分解されて、3種の汗の中でもっとも悪臭となります。
体臭には、他人とのコミュニケーションの機能があると言われています。言い換えると、健康状態や免疫系の状態が体臭によって他の人に伝わるということ。さらに、体の状態だけでなく、心の状態も伝えるのではないかと考えられ、研究が進められています。汗の臭いがそのようなコミュニケーションを担うかどうかについても研究されていましたが、雑誌『PLOSone』で、汗の臭いが人物像の判断に影響を及ぼしているという報告が発表されたので、ここでご紹介します。
汗の匂いはストレス状態であることを告白
これは、『PLOSone』で発表された、アメリカの「Monell Chemical Senses Center」による研究報告です。18才から45才の女性44人を用いた試験で、エクササイズ後と、ストレスを感じた(即席スピーチと暗算)後に腋の下をコットンで拭いてもらい、サンプルとしました。ストレスをかけた場合には、片側の腋には市販の無臭の制汗剤を用いて、もう片側は無処理でサンプルとしました。
次に、18才から55才の男女を取り混ぜた120人の評価者に、家事や育児や仕事をこなしている女性のビデオを見ながら上記3種類の汗の臭いをかいでもらい、ビデオの女性のストレス度や人物像を評価してもらいました。
その結果、エクササイズ後と、ストレスを感じた後に制汗剤を用いなかったほうの腋の下の臭いは、どちらも「ストレスがかかっている」と評価者から判断されました。
人物像については、ストレスを感じた後に制汗剤を用いなかったほうの汗の臭いに対して、自信や信頼性といった項目において評価が低いことがわかりました。加えて、女性に比べて男性からの評価が低いことも明らかに。つまり、ストレスがかかっている際の汗の臭いによって、とくに男性からは「自信がなさそう」「信頼できない」と思われる可能性が高いということです。
汗をかきそうな時にはご注意を
ガマガエルを鏡の前に置くと、たらりたらりと油(脂汗)を流すという、有名な「ガマの油売り」の口上があります。ガマの油は万能で止血作用があるということですが、ヒトの汗は残念ながら、流さないほうが良いようですね。会議等の大切な場で汗がたらりとなりそうなとき、制汗剤などの手段が現代にはあるということを、どうぞお忘れなく。また、エクササイズ後の汗でも「ストレスを抱えている人」と思われるので、油断大敵。エクササイズして汗をかきっぱなしで大切な場に臨む方はあまりいないと思いますが、遅刻しそうで会場までダッシュ! ということがないようにお気をつけください。
参考:
・Chemosignals of Stress Influence Social Judgments
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0077144
photo credit: racheocity via photopin cc