寒い冬の夜はディケンズのスモーキング・ビショップで暖まろう!
- 2014年01月05日 |
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本格的に寒くなると、ヨーロッパ各地では、スパイスやオレンジの入った温かいワインがよく飲まれます。白い湯気が立つカップを両手で持ち、スパイスの利いた甘いワインをひとくち飲めば、心も体もぽかぽかに……。イギリスではマルド・ワインと呼ばれ、冬には欠かせない飲み物です。
今回は、そんなマルド・ワインにひと味加えた、ヴィクトリア時代に人気だったと言われる「スモーキング・ビショップ」という名前の飲み物をご紹介しましょう。
チャールズ・ディケンズが好んだスモーキング・ビショップ
イギリスの誇る文豪チャールズ・ディケンズは、甘いアルコールパンチを好んだことで有名でした。彼の代表作の一つ『クリスマス・キャロル』の中にも、スモーキング・ビショップという温かいパンチが登場します。スモーキング・ビショップは、ヴィクトリア時代の典型的なマルド・ワイン・パンチ(ワインだけでなくポートワイン入り)です。その名の由来は、中世の頃、ギルドホールや大学のバンケットにビショップの司教冠に似たボールに入れて供したところからくるそうです。スモーキングは、そのまま白い湯気が立ち上る様子からついています。
『The History Kitchen』のエディターでキュレーターでもあるTori Avey女史による、ディケンズが好んだスモーキング・ビショップの再現レシピを以下にご紹介しましょう。
<スモーキング・ビショップ>
材料(8〜10人用):
オレンジ5個、レモン2個、丁字(クローブ)30個、シナモン小さじ1/4、オールスパイス小さじ1/4、ナツメグ小さじ1/4、ショウガ2cm(皮を剥いて6個くらいに角切り)、赤ワイン1本(750ml)、砂糖カップ1/2、ポートワイン1本(750ml )
■作り方
1.無農薬でワックスがかかっていないオレンジとレモンなら、ブラシできれいに洗って水気を拭き取ります。ワックスがかかっている場合には、カップ1の水と大さじ2の酢、大さじ1のレモン汁を合わせたものに漬けて(あるいは噴霧して)10分おいて、水で洗い流した後、ブラシでこすりワックスを落とし、水気を拭き取ります。
2.オレンジ5個とレモン1個に、それぞれ1個につき5カ所、まんべんなく小さい切り込みを入れて、それぞれに丁字を1本ずつ差し込みます。ベーキングシートに並べ、150℃のオーブンで75分焼きます。オーブンから取り出したら大きなボールに入れておきます。丁字が取れてしまっていたら、また差し込んでください。
3.小さい鍋に水1カップにシナモン、オールスパイス、ナツメグ、ショウガを入れ、かき混ぜながら沸騰させ、3分間くらい煮て、量が半分になったら火を止めます。
4.大きな鍋に赤ワインを注ぎ、沸騰したら火を弱め、砂糖を加えて溶かす。10分煮たら、スパイスの液を加え、火を止めます。それを、焼いたオレンジとレモンのボールに注ぎ込み、ゆっくりかき混ぜます。ラップして暖かい所に24時間置いておきます。(スイッチを切ったオーブンに入れておいてOK)
5. 24時間たったら、ボールからオレンジとレモンを取り出し、半分に切ってジュースをワインの液に絞り込みます。種などが入った場合にはワイン液をザルで濾しましょう。
6. ワイン液にポートワインを加えて温めます。ここでは沸騰させないことが大切です。残ったレモン1個をスライスして浮かべたらできあがりです。耐熱グラスに入れれば、見た目にも温かそうですよね。
寒い冬の夜でも、スモーキング・ビショップをふぅふぅ吹きながら楽しめば、心も体もぽかぽかになれるはず。友人を招くパーティの日や、ゆっくりと過ごす時間のある日に、ぜひ作ってみてください。そして、スモーキング・ビショップを片手に『クリスマス・キャロル』を読む……というのも一興。どのシーンで登場するのかは、お楽しみに!
参考:
・Drinking with Charles Dickens – The Smoking Bishop
http://thehistorykitchen.com/2012/12/20/drinking-with-charles-dickens-the-smoking-bishop/
photo credit: Nina Matthews Photography via photopin cc